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【マレッツコラム】1/14(日) vs.京都カグヤライズ

試合

1勝の重み

日本ペイントマレッツ 3-2 京都カグヤライズ
【第1マッチ】青木 咲智・大藤 沙月 2-0 出雲 美空・工藤 夢(11-4/11-4)
【第2マッチ】橋本 帆乃香 3-1 アドリアーナ ディアス(10-11/11-9/11-4/11-7)
【第3マッチ】大藤 沙月 1-3 出雲 美空(8-11/11-5/5-11/5-11)
【第4マッチ】横井 咲桜 2-3 木村 光歩(11-10/10-11/11-4/10-11/8-11)
【ビクトリーマッチ】橋本 帆乃香 1-0 アドリアーナ ディアス(11-3)


“あの”悔しさは二度と味わいたくない。チームマレッツは誰しもがそう思っているはずだ。シーズン中、悔し涙を流す姿を目の当たりにすることは度々あったが、一方で勝利に涙を流す選手は稀だ。それほどこの1勝がチームに大きな価値をもたらすかを一番わかっていたからだろう。

「あんなに涙が出てくると思っていなかったんですけど…」ビクトリーマッチを制し、ベンチに戻ってくるときには既に大粒の涙が頬を伝っていた。そしてそれはヒロインインタビューでも続いていたのだ。「どうしても勝ちたくて。昨シーズン、あと勝ち点1点というところでプレーオフに進出できなかった悔しさがあったので、この試合はどうしても勝ちたい、勝たなきゃいけない、そんな気持ちもありました。あとは安堵というか…。勝てたと思うと溢れてきちゃったんですよね」と涙の理由を話してくれた。実はもう一つ、筆者は気になっていたことがあった。それは第2マッチ勝利後に見せたほろ苦い笑顔である。格上の選手に勝ったにも関わらず、試合後あんな表情をする橋本選手を初めて見たからだ。「めっちゃやり辛かったんです。相手も格上なのでミスを誘ってくるんですよね。守る方がよいのか攻める方がよいのか1ゲーム目は迷ってしまっていました。やり辛さを表情に出しては術中にハマると思って、ずっと顔に出すのを我慢していたんです。2ゲーム目を取ってからは少し和らいだんですけど、ずっと我慢していました。そういうのもあって、終了後はその感情が出ちゃいました」と少し照れながら話してくれた。見る側にとっては順調に点数を重ねているように思えたが、戦う当人たちの苦しさを感じさせられ、また卓球ならではの表情やしぐさの読み合いをも試合の勝敗を左右することを気づかされた瞬間だった。

橋本選手が同選手と2試合目を戦うこととなったビクトリーマッチ。同じ相手と対峙する場合、ビクトリーマッチでも再び勝つことは容易ではない。「第2マッチと同じディアス選手とのビクトリーマッチだったので、相手が攻めてくるのか守ってくるのか正直わからなかったです。1ゲームしかないのでどっちかの戦術に絞って来るとは思ってたんですけどね。だからこそ、私自身はミスしないように(台に)いれていこうという意識でやっていました」と、橋本選手。ヒロインインタビューでも話していたよう、ビクトリーマッチまではまわって欲しくない、と本心では思っていたそうだが、それでもまわってきたことには、こう解釈し受け止めたという。
「第2マッチの時に、あまりに苦しくて余裕がなくて、いつも観客の皆さんに一礼するんですけど、それを忘れてしまったんです。だからもう一度観客の皆さんの前に立つことになったんだろうなと思いました。やっぱりホームの熱い応援があるので。どうしても勝ちたかったので本当に勝ててよかったです」と、ヒロインインタビューでは涙とともに笑顔もこぼれた。涙する橋本選手につられて芝田選手も涙をみせていた。「もうあれはつられますよ!笑」と笑いながらもこう付け加える。「本当によく頑張ったと思います。最近の橋本選手は特によい雰囲気で、言葉では伝えられないんですけど“いける”っていうのが出てるんです。団体戦に強い橋本選手が戻ってきたなと最近は思っています」と芝田選手。橋本選手曰く芝田選手の「はっしー、足動いているよ」という試合中の掛け声が刺さるそうだ。他の日は「直感!」というような声掛けもあった。「当たり前ですけどその日の橋本選手の状態によって声掛けは変えています」と芝田選手。そんな些細なチームメイトの一言が背を押すこともある。コートに立つ選手は限られているが“チーム戦”ということをあらためて感じさせてくれた一戦だった。

橋本選手、そしてチーム一丸で勝ち取った今日の1勝の重みを嚙み締められるのは、春の足音が聞こえる頃だ。今シーズンもあと5試合。あまりにも昨シーズンと状況が似すぎている。しかし今シーズンのチームマレッツは一味も二味も違う。チームマレッツ全員の目に歓喜の一粒が光る日が必ず来ることを願って――

Text by Naoco.M/Photo by Yusuke Nakanishi

☆Today's ONE Shot☆photo by Yusuke Nakanishi

ビクトリーマッチで勝利が決まった直後、天を仰ぎながらガッツポーズした橋本選手。試合中から橋本選手の気迫がレンズ越しに伝わってきた。絶対に負けたくないという自身とチームの想いが溢れた瞬間だった。

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