1/13(土) 日本ペイントマレッツ 4-0 九州アスティーダ
【第1マッチ（ダブルス）】青木 咲智・大藤 沙月 2-1 栗山 優菜・野村 萌（10-11/11-8/11-7）
【第2マッチ（シングルス）】横井 咲桜 3-2 田口 瑛美子（11-10/11-6/3-11/10-11/11-9）
【第3マッチ（シングルス）】大藤 沙月3-0 出澤 杏佳（11-5/11-7/11-5）
【第4マッチ（シングルス）】橋本 帆乃香3-0 野村 萌（11-4/11-6/11-5）
“ホームゲーム”は応援がより背を押す一方、プレッシャーになることも否めない。“ホーム”だからこそ勝ちたい反面、その気持ちが大きくなりすぎると空回りもしてしまう。“ホーム”がアドバンテージになるか否かは、選手本人たちに託すしかないのだ――
そのホームゲームで新たにTリーグの舞台へ立つ選手がいた。青木咲智選手だ。初戦のダブルス戦、大藤選手との“さちき”ペアがマレッツによい流れをもたらした。試合後大嶋監督は青木選手をこう称えた。「素晴らしいデビュー戦だったと思います。本当に腹が座っていましたよね。頼もしく思える程です。プレッシャーのかかるところで思い切って攻めていて純粋にすごいなって思いましたね
練習中は「緊張します…」と青木選手は話していたが、試合後に話を聞くと意外な答えが返ってきた。「試合に入るとそんなに緊張はなくて、思い切って楽しんでプレーできたと思います。大藤さんから“緊張しなくていいよ！自信持ってやろう！”と言われていました。それに先輩たちみんなが“絶対いける！大丈夫！”って言ってくれたんで、それがすごく自信になっていて、競っている場面でも緊張せずにプレーできました。最後のゲームでは、全体的に振り切れてたのがよかったかなと思います！」と笑顔がこぼれた。試合中、どんな局面を楽しんでいたのかの問いには、「初めてこんな広い体育館に一つの台で、そして大勢の皆さんに応援されながら試合をさせてもらえたので、純粋にこのＴリーグの雰囲気を楽しんでいました。マレッツの応援が世界一だと思っています」と話した青木選手。本当に高校1年生なのか？と思わせる程堂々としているように見えた。
そしてこの試合、“流れ”を変えたと感じたのが、ベンチコーチに入っていた坂本コーチのタイムアウトのタイミングだった。試合後あらためて（タイムアウトの）タイミングについて尋ねてみた。「2ゲーム目の6-7でタイムアウトをとったんですけど、あの場面は7点目の取られ方がすごく悪いと感じたんです。このレシーブミスで逆転されたんですけど、このミスをした瞬間（タイムアウトは）ここしかないと思いました。このままいくと相手に流れをもっていかれてしまう。今日のタイムアウトは悪い流れを断ち切って、それをこちらに引き寄せる意味合いでした。ぼくのタイムアウトは早いタイミングでもココだと思ったらとります」1マッチに1回しか取れないタイムアウトをどう使っていくのか、それはコーチの腕の見せ所なのだと感じた。ダブルスの勝敗がチームの勝敗を左右することは、ここ数回のマレッツコラムでも触れている通り、この1勝が間違いなくチームのストレート勝利への流れを作ったといえるだろう。
チームのストレート勝利に対し、「みんなよく頑張ってくれてうれしいです。全員が勝ち切って、2024年最初のホームゲームが最高の形になったと思います！」と大嶋監督は笑顔を見せた。今日の試合“勝ち切った”という言葉が最も当てはまったのが横井選手だ。これまでの試合では、今日のような試合展開はズルズルと相手に引きずられるイメージがあったが、今まで以上に踏ん張っているように見えた。その要因について本人に尋ねてみた。「今までの自分だったら挽回されて負けてしまうことが多かったのですが、逆に最近は今日の1ゲーム目みたいに挽回して取れることが増えてきました。その要因は気持ちの面がすごく大きくて…。佐藤さんや芝田さんが出られていない中で私を出させてもらっていて、出させてもらうからには勝つという使命感がとてもあって、諦めず最後まで戦えているのだと思っています」と予想しなかった頼もしい言葉が返ってきて筆者は驚いた。そしてこう続けた。「プレッシャーはありますけど、試合に入ったらあんまり感じなくて。試合に入ったら他のことに気を取られずに試合へ集中できています」普段はまだまだあどけなさが残る社会人1年生であるが、着実に歩みを進めていることを実感した。
“ホーム”を味方につけた若き力が躍動したこの試合。“ホーム”のファンの声援を力にして選手それぞれが着実に成長していることを実感する一日となった。また、チームそして会場に来てくれるお客様の力が一つになって最高の勝利の形を創った。残る6試合のうち5試合がホームゲームのマレッツ。昨シーズンの借り(*)はホームゲームで一つ一つ返していく。
Text by Naoco.M / Photo by T.LEAGUE/AFLO SPORT
Tリーグ初出場初勝利後に笑顔でベンチに帰る青木選手。試合中は見られなかった笑顔がととても印象的だった。初戦の勝利はチームに勢いをもたらした。
