11/23(祝土) 日本ペイントマレッツ 1-3 日本生命レッドエルフ
【第1マッチ(ダブルス)】芝田 沙季・伊藤 詩菜 2-1 笹尾 明日香・麻生 麗名(11-10/1-11/11-8)
【第2マッチ(シングルス)】井上 真夕 1-3 赤江 夏星(11-9/4-11/2-11/6-11)
【第3マッチ(シングルス)】芝田 沙季 2-3 チョン・ジヒ(11-8/4-11/8-11/11-7/12-14)
【第4マッチ(シングルス)】渡会 宥 0-3 笹尾 明日香(4-11/10-11/10-11)
初開催の高松での初陣。嬉しいハプニングが起きた。メンバー登録していた佐藤選手と橋本選手が、北九州で行われているWTTファイナルズへ中国人ペアに勝利し決勝に駒を進めた。それ故、今日の試合欠場することとなったのだ。連勝を続けていたマレッツにとってはピンチと表現すべきかもしれないが、そのピンチはチャンスにもなり得たのだ。選手層の厚いマレッツでコートに立てる選手は一握り。なかなかめぐってこないチャンスを掴んだlucky girlsがいた。中学生の井上真夕選手と渡会宥選手だ。
試合前、大嶋監督はこんなことを話していた。「中学生にとっては本当にめったにない経験をできる機会になると思うんです。ずっと卓球をやってきていて、卓球にも慣れて試合もこなしていると新鮮さに欠ける時期だと思います。卓球台1台というコートで試合をして、沢山の方に観てもらうという機会はなかなかないでしょう。見てもらえる喜びを感じてもらって、もっと強くなりたい!とかちょっと気持ちが変わるきっかけになってほしいと思っています。あとは、青木選手や髙森選手よりも先にシングルスの試合に出場できるわけですから、やったー!と思ってやってほしいですね」いつもは試合前に落ち着いていてもピリッとする緊張感がある大嶋監督だが、こう話していたときの顔はとても穏やかで優しい顔つきで、我が子を温かく見守る陽だまりのように感じる瞬間だった。
当の本人たちはというと、試合前に行われた卓球教室からずっと緊張していて顔が強張っていた。特に渡会選手は一瞬たりとも緊張が抜けず、声をかけても終始石のように固まっていた。井上選手も「緊張しています」と言っていたが、どこか堂々としている感じがあった。そんな2選手の初舞台での結果は格上の選手に敗戦となったが、井上選手は1ゲームを取り、渡会選手は3ゲーム中2ゲームが10-10までくらいつく展開をみせた。試合後、2選手に話を聞いてみた。「コートに入って打ち始めたとき(1分間のウォーミングアップ時)は緊張していたんですけど、試合が始まったら緊張しなかったんです。ファンの皆さんやベンチからの声がけで緊張が和らぎました。1ゲーム目は自分の得意な展開に持っていけて思いきって攻められていたので1ゲームとれたと思います。でもやっぱり赤江選手は強くて、いつもだと決められるボールが返ってくるんです。わたしが攻めたボールをまた更に攻撃的なボールで赤江選手は打ち返してきて、守備的になるところを攻めに展開できる凄さを感じていました。結果は負けてしまったので、悔しい気持ちはあります。でも楽しかったんです!名前をコールしてもらえて、嬉しくて気分が上がりましたし、自分のプレーを見てくれている感じがして嬉しくて。これまでは、ベンチメンバーに入れたらいいなと思っていましたが、実際に試合に出てみると、勝てる選手になってまたTリーグの試合に出たい!という気持ちになりました」と話してくれたのは井上選手。物静かな印象だったが、しっかりと自分の言葉を発し、その言葉から内に秘めた熱い闘志を垣間見た気がした。
一方、緊張でどうにかなりそうなくらいだった渡会選手はこう話してくれた。「1ゲーム目は未だ緊張していて…。何もできませんでした…」試合が始まってからもまだ緊張していたことに驚きを隠せない筆者だった。「大勢の皆さんが見てくれている前でやるのはやっぱり緊張してしまって…。やっと2ゲーム目から慣れてきて、緊張がやっと取れました。もっとボコボコにやられると思っていたんですけど、思っていたよりもラリーができました。バックは得意なので攻められたと思いますが、フォアはミスが多くて強化しないと…と思いました。自分の名前を呼んでくれるのはみんなが応援してくれている感じがするので嬉しかったです!想像以上に競る試合ができて自信になったので、次も出たいなとちょっと思いました。もっと強くなってからまたこの舞台にたちたいです」渡会選手の“ちょっと”という言葉をそのまま書かせてもらったが、控え目な性格を表すとともに、もっと強くなってからじゃないと意味がないというそんな想いを感じた。大嶋監督が試合前に願った展開通りになっていた。いや、それどころか見せ場をしっかりと作っていたことは予想以上だったように思う。今日の経験がきっと2選手の糧になるに違いない。またこの舞台に一回りも、二回りも大きくなった姿で帰ってきてくれるだろう。
マレッツとしては、ダブルスの“さきしな”ペアが何度もコミュニケーションをとり、前回の反省を生かして1勝を挙げたもののシングルスで勝ちを積み上げられず、開幕からの連勝が11でストップする結果となった。まだまだこれからだ。またここから『頂』に向けて一歩ずつ進んでいく。(Text by Naoco.M/ Photo by Yusuke Nakanishi)
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