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【マレッツコラム】2/11(祝日) vs.トップおとめピンポンズ名古屋

試合

昨シーズンを“超”えた日

日本ペイントマレッツ 4-0 トップおとめピンポンズ名古屋

【第1マッチ】青木 咲智・大藤 沙月 2-0 木村 香純・南波 侑里香(11-8/11-9)
【第2マッチ】佐藤 瞳 3-0 ユエン シュエジアオ(11-7/11-10/11-10)
【第3マッチ】大藤 沙月 3-1 南波 侑里香(7-11/11-3/11-4/11-2)
【第4マッチ】橋本 帆乃香 3-2 安藤 みなみ(3-11/11-6/11-10/6-11/11-9)

超えるべき特別な1日を迎えた。前日、プレーオフ進出を争うトップ名古屋の敗戦をうけ、勝てば代々木への切符を手にできることがわかっていた。どんな形であれ、勝てば決まる。そのアドバンテージは吉とでるのか凶とでるのか――

前日、名古屋入りした選手たち。「誰が出場するかは明日の朝に発表するので各自準備をするように」そんな言葉が選手たちにかけられていた。コーチ陣も直前まで誰を試合に出すのか迷っている様子だった。それは相手とのオーダーの読み合いでもある。「毎日コーチ陣でああでもないこうでもないと話してたんです。2月3日名古屋さんに勝って、相手がどんなオーダーでくるだろうかともずっと話してて。最後の最後まで悩みました」と大嶋監督。そんな中、2マッチを任されたのは大藤選手だった。「今週、ダブルスしか練習してなかったんで、ダブルスしか出ないんだなって勝手に思ってました。シングル出るのは0%だと思ってました(笑) だから、朝に聞いてびっくりして…。でも、逆に変な気持ちがなく練習できたかもしれません。あんまり意識しない方がよいのかも…」と思わず本音が漏れた。勝てばプレーオフ進出が決まる大一番で2点取りの大仕事をやってのけたが、ヒロインインタビューに指名されたのは佐藤選手だった。「2点取れたんで橋本選手の試合中、応援しながらインタビューで何話すか考えてたんですよ!(笑)」とほっとした表情で笑いながら話してくれた。ヒロインインタビューとはいかなかったが、大藤選手に試合のことを聞いてみた。「青木選手とのダブルスは、この前同じ名古屋のペアと対戦していたので、ミスしたところを重点的に練習していました。前回は思い切りがよかったから勝てたと思っていて、今回同じようにいくか不安ではあったんですけど、意外と思い切ってできましたね。Tリーグは3ゲームだけなので、変に考えずに思い切っていくことも大事だと思っています」ダブルスの試合中、2人でどんなことを話していたのか尋ねてみた。「青木選手がどうしたらいいのかわからないって言ってくるときもあって、そんなときは“適当でいいよ!”って言ってます」と大藤選手。思わず「適当?!」と聞き返してしまった。それには大藤選手なりの意図があった。「自分がアドバイスして、その通りのボールがこないこともあると思っていて、違ったらパニックになってしまって余計に混乱すると思うんです。それよりも青木選手に任してあげる方がよいと思ってます。青木選手はインターハイで優勝するくらいの選手なので、やっぱり感覚はよいんで!」大藤選手なりに後輩の青木選手を引っ張っていると感じた言葉だった。

ダブルスの勝利で勢いに乗り、キャプテンが第2マッチで更にその勢いを加速させて迎えた、第3マッチシングルス。2ゲーム以降は大藤劇場だった。「今日は余裕があったと思っています。試行錯誤してきて自信がついたというか…。やっていることに楽しみがあるのと、これでいけるっていう感覚があったんです。1ゲーム目は相手が勝負をかけてきて意外なことも多くてびっくりはしたんですけど、2ゲーム目からは戦術を変えたんでそれがうまくいったかなと思います」吉田コーチにも聞いてみた。「プレーに余裕があったかなと思いました。色々と変えていることがあって、それがハマってきているとは思っています。1ゲーム目が終わって坂本コーチのアドバイスで戦術を変えたんですけど、ちゃんとそれをできてしまうのが大藤選手なんですよね。すごいです」と賛辞を送っていた。大藤選手自身、コンディションいつもと変わらなかったと言っていたが安藤トレーナーはコンディションがよいと判断していたようだ。「筋肉・目・精神の3つでみるんですけど、今日はどれも大藤選手はよかったです。体(筋肉)の反応がとてもよくて!今日はわたしが触らなくてもいいと思ったくらいです」全てが大藤選手に味方していたように思えた。それも日ごろの積み重ねてきた結果だろう。最後に気になっていたことを聞いてみた。大藤選手へダブルス、シングルス両方へ出場することだ。「やっぱり両方出るのは緊張しますね。しんどさとかはないんですけど…。それでも目の前の試合ということばかり考えていたので、気付いたら17勝していて!こんなに勝ってたんだと知りました(笑)」MVPを狙える位置にいることにようやく気付いたようだ。初陣で大嶋監督が激をとばして始まった今シーズン。大藤選手にとっては山あり谷ありのシーズンになっているだろう。それでも一つずつ“超”えてきた成長の証が勝ち星に現れている。

レギュラーシーズンも残り2試合。昨シーズンの借りを返し、プレーオフ進出は決まったものの少しでも勝ち点を積み重ねたいマレッツ。ホームアドバンテージを生かし、笑顔で最終戦のセレモニーを迎えたい――

☆Another Story☆

見事なストレート勝利でプレーオフの切符を掴んだことを大嶋監督に尋ねてみた。「ホッとしました。本当によかった。2・3日この余韻に浸りたいくらいです」と安堵の表情を見せる。「Tリーグの独自のルールは勝つのが本当に難しくて…。それでも今日は出場した選手それぞれが一山“超”えて掴んだ勝利だったと思います。それにみんなツキがありましたね。最高の形でプレーオフ進出を決められてよかったです。昨シーズンよりもみんな勝利に向かっていくことが日常になったというか…。昨シーズンは絶対に落とせない試合となると硬くなりすぎていたところもありましたし、リラックスしていると不安に思って逆にピリピリしてしまうこともありました。最近は試合前にリラックスしていても安心して見られます。選手はそれぞれ不満に思うこともあると思いますが、色々なオーダーで戦えたことは、結果が出た今ならトータルでよかったと言えますね」と嬉しそうな表情を見せた。昨シーズンの忘れ物をようやく拾うことができた。今日出場できなかった選手は悔しいかもしれない。それでも全員で勝ち取ったプレーオフ進出ということには変わりない。

Text by Naoco.M / Photo by T.LEAGUE/AFLO SPORT

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