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【マレッツコラム】2/3(土) vs.トップおとめピンポンズ名古屋

試合

コートへ立つ”重み”

日本ペイントマレッツ 3-1トップおとめピンポンズ名古屋

【第1マッチ】青木 咲智・大藤 沙月 2-1 木村 香純・南波 侑里香(11-4/6-11/11-9)
【第2マッチ】芝田 沙季 3-2 安藤 みなみ(11-10/11-10/5-11/7-11/11-7)
【第3マッチ】橋本 帆乃香 3-0 南波 侑里香(11-1/11-8/11-9)
【第4マッチ】横井 咲桜 1-3 ユエン シュエジアオ(11-5/6-11/3-11/6-11)

いてつく寒さも春への一歩に過ぎない。苦楽を伴う長い道のりもあと少し。この“春”とシーズンの終わりに新たな景色を見るために――

この試合、会場をマレッツの空気へと一変させた選手がいた。第2マッチに登場した芝田選手だ。どちらがとってもおかしくない1ゲームの“11点目”をもぎとると会場に芝田選手の声が響き渡った。そして2ゲームも前ゲーム同様10-10に。この1点が第2マッチの勝利の行方に大きく影響することは容易に想像できた。その“11点目”を芝田選手がとると全身でその喜びを表現した。ガッツポーズという言葉では収まりきらないものだった。(その様子はマレッツ公式X、TリーグYouTubeに動画でぜひご覧いただきたい)ここで一気にとはいかないのが相手のエースだ。3,4ゲームを取られたが、最終5ゲームに入るとまた芝田劇場が再開した。1点、1点積み重ねるごとに芝田選手のボルテージがあがっていくのが伝わってくる。大応援団を要する相手をも圧倒し、観客を魅了した一戦だった。

久しぶりのシングルス出場にいつもと心持ちが違ったのか芝田選手に尋ねてみた。「シングルスだからっていう特別な感情はなかったです」と意外な返答から始まった。「ダブルスでもシングルスでも出させてもらうからには勝たないといけないと思っているのは同じです。だってダブルスでもシングルスでもチームの1点には変わらないじゃないですか?特に今日の対戦は相手のエース、そして第3マッチに控える南波選手は前のマッチで同じチームの選手が勝つと波に乗るんです。だから絶対ここで流れを作らないとチームの勝敗に影響すると思っていました。それに今は常に出られる立場ではないからこそ、出るときには絶対勝たないとっていうのはあります。佐藤選手もなかなか出られていないので、覚悟を持って試合に臨んではいます。ある意味、昨シーズンよりも勝つ“責任”は重いかもしれないですね」マレッツで試合に出ることがどういうことなのか、芝田選手の考える選手像が集約されている言葉に思えた。

そして、芝田選手の言う“責任”を果たすこととなったのだが、その要因となった一つが“声”だろう。芝田選手曰く、全日本選手権5回戦、井選手との試合でリミッターが外れたという。数年もの間、もがき苦しんでいたことを知ることとなった。「何年か前のある試合をきっかけになんか自然に声が出せなくなっちゃったんですよ。出そうとしても詰まるというか…。そこからは意識的に出していた感がずっとありました。だからちょっと違和感があるというか…。自然じゃないんですよ。全日本の途中まではそんな感じがまだ続いていたんですけど、5回戦で蓋をしていたものが外れて自然に声が出るようになったんです」確かにそうだった。筆者も同大会を観戦していたが、途中から会場の端から端まで芝田選手の声が聞こえてきて驚いたことを記憶している。「全日本という特別な舞台だったから、(声が)自然に出たのかもしれないと思っていて、Tリーグでも同じようにできるのか、正直わからなかったんです。でも今日はあの時と一緒で自然に声が出ましたね」と笑みを浮かべる。「声って多少なりとも相手にプレッシャーを与えることができると思っているんです。声ばっかりで空回りしてもダメなんですけど…(笑)外から見ると熱く見えたと思うんですけど、実はとても冷静でした。ミスをしても嫌な感じはなかったですし、4ゲーム目の後半は5ゲーム目に向けて切り替えられました。5ゲーム目の最後の1点もいつもだったら、7点目を取られたときと同じようなことをして点を取られてしまうんですけど、今日は自分で予測してその逆をつけました。そこも冷静に戦えたからこそかなと思っています」戦う芝田選手の姿を会場で見ていた筆者は、あの状態で冷静だったという言葉がにわかに信じがたかった。しかし、改めて思うと魅了されたわたしたちが熱くなっていただけなのかもしれない。改めて、大嶋監督がよく言う「自分ともう一人の自分が俯瞰してプレーを見ていることが大切」という言葉の重要性が解った気がした。

それぞれが選手人生を進んでいく道中、様々なデコボコ道やトンネルが待ち受けている。それが長く続くこともあれば、すぐに通り抜けることもあるだろう。そんな道中ではあるが、チームマレッツの23-24シーズンという道はまもなく終わりを迎える。選手それぞれ、デコボコ道の途中かもしれない。トンネルの中かもしれない。それでもマレッツの道が終わる“春”には、新たな景色を目の当たりにして、少しでも暖かな“光”を感じてほしい。それぞれの道しるべになる“光”を――

Text by Naoco.M Photo by Yusuke Nakanishi

☆Today's ONE Shot☆photo by Yusuke Nakanishi

第二マッチ勝利直後にベンチに向かってアクションした芝田選手。最後まで気迫で上回った。第二マッチの勝利は今日の流れを決めたと思う。

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