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【マレッツコラム】8/5(土) vs.トップおとめピンポンズ名古屋

試合

“超”の幕開け

日本ペイントマレッツ 3-2トップおとめピンポンズ名古屋

【第1マッチ】芝田 沙季・大藤 沙月 2-0 マー ユーハン・南波 侑里香(11-6/11-6)
【第2マッチ】佐藤 瞳 3-1 ユエン シュエジアオ(6-11/11-8/11-7/11-7)
【第3マッチ】横井 咲桜 1-3 安藤 みなみ(11-8/10-11/6-11/3-11)
【第4マッチ】 大藤 沙月 1-3 南波 侑里香(6-11/7-11/11-6/6-11)
【ビクトリーマッチ】佐藤 瞳 1-0 安藤 みなみ(12-10)

今シーズンもマレッツの“元日”がやってきた。元日はアウェイ。それもトップ名古屋のホームで迎えた。そう、トップのアウェイ初戦といえば――  昨シーズン、心に住む魔物が襲ってきた試合とあまりにもシチュエーションが似ていた。思い出さずにはいられないあの苦い記憶。それを払拭できるのか?それとも再び――

「オーダー的には悪くないと思っています」と試合前大嶋監督。続けて「だからこそ、怖いんですよね。昨シーズンの豊田(*)があったんで・・・。でも意識しすぎず、相手は昨シーズン2位のチームなので、あくまでも挑戦者の気持ちで戦います!」と話した。監督自身ももちろん緊張していたはずだ。しかしながら、選手にこちらの緊張が伝わるまいといつもと同じ1日と振る舞っていた。今シーズンからキャプテンとなった佐藤選手はこう試合前のチームの様子を語った。「オーダーが悪くないときこそ気をつけろ!とコーチ陣に言われていて心得ているので、気を引き締めて準備しています。ある程度の緊張感とリラックスした雰囲気があります」それを聞いて、これならば今回は…と筆者は思っていた。

ビクトリーマッチは一進一退の展開。佐藤キャプテンが先に大手をかけるも安藤選手もくらいついてくる。10-10。ここで佐藤選手がタイムアウトをとった。次の1点が勝負を分ける、そう筆者は思っていた。その1点は――。得点が決まった瞬間、今までに聞いたことのない佐藤選手の雄叫びが会場中に響き渡った。その瞬間、未だ勝利が決まってないにも関わらず熱いものがこみ上げ瞳を覆い、今にも溢れ出しそうになっていた。筆者は頬を伝うまいと必死にこらえていた。昨シーズン、もがき続けている佐藤選手を目の当たりにしていたからこそ、その姿は壁を乗り越えて殻を破った姿に映ったからだ。こんなにも心を揺さぶられた1点は珍しい。あと1点。昨シーズン遠かった1点もどことなく安心して待つような感覚にさえさせられた。いや、未だ安心してはいけない、でも絶対次の1点は取る、取れる、そんなことを呟いた。その瞬間はやってきた。佐藤選手は拳を握り両手を高く挙げた。12点目も果敢に攻めもぎ取り、マレッツを勝利へ導いた。

試合後、佐藤選手は時折笑みを浮かべて話してくれた。「ビクトリーに出場することは、実は試合前から聞いていました。2番勝った時点では今日はビクトリーまで回らないだろうと思ってしまっていたんですが、いざ回ってくるかもという状況になった時でも過度な緊張はなかったです!やるべきことをやるだけ、自分に負けない、相手に集中する、という3点をすごく意識しながら試合をしていました。それがすごく良かったのかなと思います!」昨シーズンからの自分自身で感じる変化についても聞いてみた。「昨シーズンの反省をきちんとやって、受け止めて、進んでこられたから色々な面で成長できたんだと思います。シーズン始まるまでにも色々な大会があり、積み上げてきたものがあったので自信を持って戦えました!」目に見える自信と見えない自信、両方が今の佐藤選手を支えているように思える。そんな佐藤選手は試合後に「入ったの奇跡!」ととびっきりの笑顔で12点目の攻めた1本のことを口にしていた。ベンチから大嶋コーチが何度も「攻めていこう!攻めていこう!」と声をかけていた。「10-10でタイムアウトをとったときも、攻めの気持ちでいけということを言われたことを憶えています。いつも大嶋コーチに口酸っぱく言われているプレーで、今日の試合中も何度も言われているプレーだったので、何度も何度も言い続けてくれた大嶋コーチのお陰で出た奇跡の1本だったと思っています」と感謝の意を口にした。

新キャプテンもまた頼もしい。そう感じたのは筆者だけではなかった。「一回りたくましくなりましたね!」と開口一番大嶋監督は佐藤選手を讃えた。どうやら11点目に目頭が熱くなったのは、筆者だけではなかったようだ。「未だ勝ってないのに、あの1点取った瞬間、込み上げるものがありました。昨シーズンよりも一皮も二皮も剥けたように思えました」と筆者には明るい表情を見せてくれたが、この直前、大嶋監督はこれまで見せたことのない厳しい表情で若手2選手へ叱咤激励を飛ばしていた。「大藤選手、横井選手にはこれまでこんな風に厳しく言ってこなかったんですけど、期待しているからこそ今日は伝えました。若さ、未熟さが出て、足りないところが露わになったと思っています。チームとしては勝ちましたけど、二人にとっては悔しい結果ですよね。今日勝っていたら気付くことがもっと遅くなっていたと思うので、二人にとってはこの初戦でよかったと思っています」と大嶋監督。ちょうど試合前に大藤選手と横井選手への期待を聞いていた筆者は、愛のある叱りを目の当たりにし、2選手への成長が鍵になっていることを更に実感することとなった。今日の壁を打破できるかは2選手自身にかかっている。まさに“超”だ。それぞれの“超”が見られるシーズンになるのか――。今日がその幕開けになったことには違いない。

(*)スカイホール豊田での2022年10月23日トップ戦を意味する
Text by Naoco.M  Photo by /T.LEAGUE/AFLO SPORT

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