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【試合結果】1/8(日) vs.トップおとめピンポンズ名古屋

試合

2023年の初陣――越えられた壁、越えられなかった壁

1/8(日) 日本ペイントマレッツ 3-2 トップおとめピンポンズ名古屋

【第1マッチ(ダブルス)】佐藤 瞳・橋本 帆乃香 1-2 鈴木 李茄・南波 侑里香(11-8/9-11/9-11)
【第2マッチ(シングルス)】大藤 沙月 1-3 安藤 みなみ(5-11/11-8/5-11/9-11)
【第3マッチ(シングルス)】橋本 帆乃香 3-0 ハン イン(11-7/11-10/11-9)
【第4マッチ(シングルス)】芝田 沙季 3-0 南波 侑里香(11-9/11-8/11-4)
【ビクトリーマッチ(シングルス)】芝田 沙季 1-0 安藤 みなみ(11-8)

どうしてもあの日の“魔物”(*)を思い出してならなかった。人間は一度経験したことをよく憶えている。特に苦い経験は…。またあの時みたいに―そんな不安が過ってしまう。だからこそだ。きっとあの日を越えてくれる、いや絶対に越える――そう誰もが信じ、願った2023年の初陣だった。
「みんなが乗り越えなければいけない壁なんだと思います」オーダーが出たのち、大嶋監督は前を向く力強い声とは裏腹に一瞬少し苦い表情も浮かべていた。まるで卓球の神様が、試練を乗り越えていけ!と言わんばかりに、魔物が襲った豊田での試合とあまりにも類似したオーダーを用意したのだ。「まずはダブルスを取らないとこの試合勝てないと思っています」と大嶋監督は話していたが、逆転負けで第1マッチを落とすと不穏な空気が流れた。その暗い渦に巻き込まれるように第2マッチを落とすと窮地に立たされた。
崖から今にも落ちそうなマレッツの大ピンチを救ったのは橋本選手だった。「ハンイン選手にはこれまで1度も勝ったことがなかったので、オーダーが出た瞬間は思わず頭を抱えてしまいました」そう、この瞬間、筆者はライブ配信をしながら見ていたのだが、その姿はガッツポーズをしたように見え“これは橋本選手やってくれるのでは?”と大いなる勘違いをしていた。それがまさに現実となり、橋本選手のガッツポーズを試合終了と同時に見られることになったのだ。「ダブルスを競り負けてしまって、自分が勝たないとチームは負けてしまう。でも勝って芝田さんにまわせば(勝てる)可能性が見えてくると思っていました。勝ったことのないハンイン選手との対戦で不安も緊張もありましたが、挑戦すると決めて余計なことを考えずに集中していました」と橋本選手。2ゲーム目8-7とリードしたところで促進ルールが適応された。「促進ルールは得意でも苦手でもなかったので、冷静に対応できました。それよりもハンイン選手のボールに対して苦手意識があったので、1度(ハンイン選手に)勝っている佐藤さんから試合前にアドバイスをもらえたのが大きかったです。それに加えて、いつも決めにいきたくなるところを我慢できたのが勝因ですね。特に2ゲーム目の10-10となった時には、相手のサービスだったので13本返しきったらこのゲーム取れると思い、死ぬ物狂いで拾いにいきました」と橋本選手は笑みを浮かべた。

橋本選手が3-0勝利をもぎ取ると会場の空気が一変した。意気消沈し止まっていたマレッツハリセンを叩く手が、息を吹き返したように再びハリセンを叩き始め、その音が一斉に会場中に鳴り響いた。潮目が変わった、これはいける―そう思わせてくれた瞬間だった。当の本人もどうやら同じように思っていたようだ。「チームが0-2になりましたが、不思議なことに“いける”と思っていたので、他の選手たちに『大丈夫!ここから!』と伝えました。橋本選手が勝てば後は私次第だと思っていたので!」と芝田選手。それでもビクトリーマッチが終わったときには思わず「泣きそう…」とこぼしていた。「豊田では南波選手に負けていましたが、そこから沢山色々な経験をさせてもらい、ビクトリーマッチも含めて落ち着いて臨めたと思います。今日の試合はチームにとっても自分にとっても凄く重要だと思っていたので、絶対に勝つと自分を信じていました」と芝田選手は話した。第4マッチに登場したその姿は、気迫に満ち溢れ、目には見えない何かを宿したように思わせた程だった。力強い言葉が並べられ勝利の余韻に浸るのかと思いきや、芝田選手からは最後にこんな言葉を放った。「勝ってもやっぱり課題はあるので、1つ1つ取り組んでいきたいと思います」と。いつも筆者は勝利の感想を聞く。しかしながら芝田選手は毎回「反省は―」と口にだし考え始めた後に言葉を並べていく。大嶋監督が常々言っている。「わたしたちが目指しているのは、レギュラーシーズンでの優勝とファイナルでの優勝です」と。そこに向かう為に必要なものを解っているのだろう。「チームとして全てうまくいって勝てるわけではないと思っています。皆それぞれ前回の反省を活かすように対策して、戦略を立てて努力していました。でもうまくいかないこともあります。そういう中でも、それぞれが試練を越えていってくれたら、自然に高みが見えてくると思います」と話した大嶋監督の言葉には、今回壁を乗り越えられなかった選手たちへのエールが込められていた。
試合も人生も立ちはだかる壁の連続だ。その壁を乗り越えていけるのは自分自身しかいない。一筋の光を掴み一気に超えられるときもあれば、一歩ずつ岩を登るように登らなければならないこともあるだろう。今シーズンも残り5試合。それぞれの選手が自分自身を信じ、自分を越えていく時、マレッツに新しい景色を見せてくれるに違いない。(Text by Naoco.M Photo by /T.LEAGUE/AFLO SPORT)
(*)22/10/23豊田でのトップ戦、詳細は試合結果ストーリーをご参照ください

【次戦】2/4(土)17:30~ vs.京都カグヤライズ @貝塚市コスモスシアター

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