【 第1マッチ(ダブルス) 】フォン ティエンウェイ・大藤 沙月 1-2 森 さくら・長﨑 美柚(11-5/3-11/8-11)
【第2マッチ(シングルス)】小塩 遥菜 0-3 早田 ひな(6-11/7-11/5-11)
【第3マッチ(シングルス)】大藤 沙月 1-3 平野 美宇(11-5/11-9/11-8/11-5)
【第4マッチ(シングルス)】芝田 沙季 0-0 長﨑 美柚
「マレッツの一員になってくれてみんなありがとう、目標にしてきたこの舞台に立ててよかった」そんな感謝の言葉を指揮官はファイナルの舞台を彩った選手たちに送り、涙をみせた。苦節4シーズン目にようやくたどり着いた夢の舞台。その想いはひとしおだっただけに――
選手を鼓舞する指揮官の声は、より一層愛に満ち溢れ、熱を帯びていた。セミファイナル直後もこんなことを語っていた。「僕にできることは、選手たちに声をかけることだけなんです。戦術云々よりもそれぞれの力が発揮できるように背中を押す。それが役目だとも思っています」その言葉通り、前日の練習でも選手とのコミュニケーションを重視した。今シーズン最後の最高の舞台にベストパフォーマンスを引き出すために・・・。そんな指揮官の想いとは裏腹に、普段とはあまりに違いすぎる独特の会場の空気感で歯車が狂う。勝利を届けたいという想いが強すぎたのか、いつもは出さない感情をコート上でみせてしまう。些細なことかもしれない。ただ、ほんの小さなボタンの掛け違いは、普段ならできるプレーをさせなかったり、いつもは選択しない“こと”を選ばせてしまったりする。それが勝者・敗者という大きな差になってしまうのだ。
プレーオフのルールは決着がついた後のマッチは行われない。第4マッチに出場予定だった芝田選手は、ファイナルのコートに立つことなく晴れ舞台の幕が閉じてしまった。「いつも以上にアップして整えて集中していたのに―ある意味笑って終わりました」とユーモアを交えたが、約1,400人の視線を一身に浴びる特別なコートに立てない悔しさを滲ませた。最後まで諦めず戦い続けたのは小塩選手だ。いつもとは異なる会場の空気感やプレッシャーをなんとか跳ね返そうといつも以上に大きく頼もしく映った。人目を憚らず目頭を覆ったのは大藤選手だ。のびのびとプレーできなかった悔しさ、負けた悔しさを始め色々な感情が湧いたのだろう。そんな大藤選手を慰めていたのはキャプテンのフォン選手だ。「大藤選手はわたしの娘」そんな風にフォン選手が口にしていた程、愛おしい存在なのだろう。この経験も大きな財産になることがフォン選手にはわかるからこそ、笑顔で声をかけて肩に手を沿えた。試合の幕を閉じた後に涙が止まらなかったのは南波選手だ。あのコートに立てない悔しさもあっただろう。それに加え、1シーズンが終わったことを告げられ、色々な感情が渦巻いていたようだ。
今までは観客として客席から見ていた“夢”の時間を今シーズンはコート上で迎えられた。たった約1時間半という短い時間だったかもしれない。それでも今の全てをチームが一つになって出し切った。今日のこの時間が皆さまの心の中の“タカラモノ”になったのならば―― そんなことを願っている。
マレッツの4thシーズン目は終わってしまった。それくらい、愛おしい時間だった。熱い応援に背を押してもらいながら女子チームで一番多く試合ができたこと、時間を共有できたことは“幸せ”としか言いようがない。ありがとうマレッツ。
試合中に三原監督の声がよく聞こえた。ここぞという時に必ず声が聞こえる。それがこの一戦は特に印象的だった。
当社のウェブサイトはCookieを使用しております。
Cookieの設定は、いつでもご利用のブラウザの設定によりご変更いただけます。このサイトを利用することにより、当社のクッキーポリシーに同意したものとみなされます。