2022年のクリスマスに遂に地元京都で試合を迎えた京都カグヤライズ。向日市民体育館は800人を超える観客で埋まった。2階席には向日市と京都市の中学生が書いた横断幕が掲げられた。めちゃくちゃ素敵です。ありがとうございます。相手は木下アビエル神奈川。世界選手権代表の木原、長崎、東京五輪代表の平野を揃える超強敵だ。厳しい戦いになるのは間違いない。カグヤライズは、地元のファンに勝利を届けられるのか!!
選手がサンタ帽を被るなどして入場する中、トナカイの被り物をした男が一人。その名は池袋晴彦。京都出身の監督が率先して、一番目立つものを被るところにリーダーシップを感じさせる。やや被り物がきつそうだが、そのリーダーシップに惚れてしまったのか、京都カグヤライズのマスコットるーなちゃんが池袋と腕を組み入場して、池袋を更に恥ずかしがらせる。るーなちゃんもいい仕事をしてますね!
3連勝中のドゥ・シャンペアだが、相手は2019年世界ジュニア選手権でダブルスを優勝したこともある強敵木原・長崎ペア。二人ともエリートアカデミーの出身だ。(ちなみに筆者のペンネームはシロートアカデミーでございます。ご容赦下さい。)
第1ゲーム、カグヤライズに点が入るたびに会場中が拍手で沸く。これぞホームゲーム!!ドゥはチキータを中心に、シャンはフリックとストップを混ぜてレシーブ。相手のミスもあり8-5とリードするも、徐々に長崎にエンジンがかかってくる。アビエルペアの攻撃が次々に決まり、まさかの6連続失点を食らい8-11で第1ゲームを落とす。
第2ゲーム、5-3とリードするも3連続失点で5-6と逆転されるとカグヤライズはタイムアウト。長崎のバックハンドドライブがクロスに厳しく決まり、シャンのフォアにミスが出る。
タイムアウト明け、シャンのショートに木原が距離を合わせられずミスが出て6オール。しかしすぐさま長崎にチキータで2連続レシーブエースを取られて6-8。アビエルの猛攻は止まらず、このまま6-11で第2ゲームも取られ、ダブルスを落とした。
やはり木原・長崎ペアは強かった。地元ファンに勝利を届けたいカグヤライズとしては非常に痛い一敗だ。
なかなか本調子といかないユエン。今日も平野相手では厳しいかと思われたが、京都のファンの前で元中国代表の実力を見せる!!
第1ゲーム、ラブオールからユエンは2連続で平野のバックサイドへ順横回転ロングサーブ。バックドライブの強い平野相手に効きにくいと思われるサーブだが、思い切って出して連続得点を奪う。一気に3-0とリードしたが、平野は若いながらも百戦錬磨で焦らない。すぐに5連続ポイントを奪われ3-5と逆転される。ここでユエンはバックサーブを見せ、平野のレシーブミスを誘い、2連続サービスエース。6オールからまたしてもバックサーブでサービスエースを奪うと、次の高速ラリーも先にバックでストレートを突いて得点し8-6。平野にチキータをさせない、フォア前へのバックサーブが効いている。このままリードを保ち11-8で第1ゲームを取る。
第2ゲーム、ユエンは今度はフォアサーブで平野のフォア前とミドル前を突く。平野に攻撃されても緩急をつけたブロックで平野のミスを誘い、バックの打ち合いになれば緩急に加え、ストレートやミドルへのコース取りで得点を奪う。9-7リードから2点返され9オールとなりユエンにサーブ権が戻ったところで、アビエル側がタイムアウト。ユエンがサーブの時に得点を奪えず、第2ゲームも失うわけにはいかないためだ。タイムアウト明け、ユエンは第2ゲームでは使っていなかったバックサーブを選択。平野がユエンのバックへレシーブしたのを回り込みドライブで得点し10-9。しかし次は5球目のバックドライブをミスして10オール。最後の一本、平野はサーブから一発で決まるような3球目バックドライブを見せるが、ユエンが素晴らしい反応で癖玉にしてブロックし、平野がミス。見事第2ゲームも取る。ゲーム間には今日もシャンがユエンにアドバイスを送る。
第3ゲーム、ラブオールでユエンは上回転系のスピードロングサーブを平野のバックに出す。平野はバックドライブで返すが、待ち構えていたユエンはバックハンドをストレートに決める。ユエンが第3ゲームも予想外の展開からスタートさせる。このゲームも一進一退の展開となるが、7オールからユエンがバックハンドの緩急でラリーを制すると、次の平野のロングサーブをバックドライブで一撃で決め9-7と抜け出す。しかし、ここでユエンのフォアドライブにミスが出て、カグヤライズがタイムアウト。張コーチから激が飛ぶ。
タイムアウト明け、ユエンの選択は第3ゲームの一本目と同じバックへのロングサーブ。平野はバックドライブで返すが、またしてもユエンはストレートへ攻撃。平野がどうにかクロスに繋いだ球をフォアクロスにドライブを決めマッチポイントを奪う。
最後はユエンのツッツキレシーブを平野が攻撃ミスをして11-8で見事なストレート勝利。
目まぐるしくサーブを変え、平野に調子を出させず卓球の奥深さを見せたユエンが、チーム勝利への希望をつないだ!!
マッチカウントをタイに戻したカグヤライズ。大事な3番を任されたのはドゥ。ドゥもシングルスでは開幕戦で勝利して以来5連敗で波に乗れずにいる。14歳の張本相手にホームのファンの前で意地を見せてほしい。
第1ゲーム、張本のバックドライブのピッチとスピードに押され4-9まで離される。ここから8-9まで追いすがるも、サービスエースを奪われ流れを断ち切られ、第1ゲームを9-11で落とす。
第2ゲーム、ドゥは第1ゲーム後半の流れをそのまま持ち込み5-0とリード。しかし張本のバックドライブがドゥのフォアサイドを突き始め5-4まで差を詰められる。ドゥはここで焦らずに張本の猛攻を丁寧にさばき、8-4と再び差を広げる。徐々に張本のミスが目立ち、第2ゲームを11-5で取り返す。
第3ゲーム、ドゥはラリーと台上で優位に立ち、6-1とリード。ここからドゥにミスが出て6-4となると、ドゥは早めのタイムアウトを取る。張コーチとシャンのアドバイスにうなづくドゥ。タイムアウト明け、ドゥのサーブで2失点で6オールとされると、互いのサーブ時になかなか点を取れない展開となる。9オールまでもつれ、ドゥにサーブ権が移ったが、ここでドゥはシンプルな縦回転系のショートサーブから攻める。最後は張本のフォア前へのストップに対し張本のフォアにチキータを打ち11-9とゲームを決めた。
第4ゲーム、後がなくなり気合いを入れ直した張本に、攻撃を次々と決められ4-11で落としファイナルゲームへ。
6オールから始まるファイナルゲーム、張本のサーブから連続攻撃を決められ6-8。厳しい場面だが、ドゥは落ち着いて3球目バックドライブで張本のミドルを突き得点。ここでアビエルが追いつかせまいとタイムアウト。タイムアウト明け、ドゥは張本のチキータからのバックドライブにバックカウンターでかけ返し得点して8オール。次を絶妙なストップレシーブでエースを奪い9-8と逆転すると、張本のストレートのバックドライブをフォアで回転をかけて返球しミスを誘い一気にマッチポイント。1点返されるも最後はYGサーブをフォア前に出したのを張本がフリックミスし、11-9で勝利。ドゥが激闘を制した!!
これでカグヤライズが地元での勝利に王手だ!!
第1ゲーム、同志社大学出身の成本が幸先よく5-2とリードするも、さすが世界選手権日本代表の木原。成本の変化サーブにも表ソフトの変化にも対応し、すぐに5-6と逆転される。成本がサーブミスをした際には観客席から「ドンマイ、ドンマイ」と声がかかり、ファンも一緒に戦ってくれている。第1ゲームは接戦となるも9-11で落とす。
第2ゲーム、木原がラブオールから珍しい連続サーブミス。木原はミスをしてもお構いなしと前陣からどんどん攻めてくる。成本は木原のリズムに惑わされず、台から下がらされても食らいつき、11-6で第2ゲームを取る。
第3ゲーム、木原の攻撃の精度が上がり、6-10とゲームポイントを握られるも、成本はいつも通り集中力を切らさず、木原の猛攻についていく。9-10まで追いつくとアビエルがタイムアウト。次の球、木原の一発で決まりそうなバックフリックを成本が見事な反応で返して10オール。次を成本がループドライブからの回り込みドライブで木原のバックサイドをノータッチで抜く。逆転で第3ゲームを取る。
第4ゲーム、成本の王子サーブもうまく返され一方的な展開となり、2-11で取られ、2試合連続のファイナルゲームへ。
ファイナルゲーム、成本はフォアサイドギリギリに出る王子サーブを出し、木原が空振り。
次も同じコースへ王子サーブを出し、木原がツッツいた球をミドルにフォアドライブを決め8-6。しかし木原も自分のサーブから攻撃を決め8オール。成本は三度王子サーブをフォアサイドに出し、今度は木原がクロスにドライブをかけるが、成本がクロスに鋭くブロックして、木原がドライブをオーバーミスして9-8。ここでカグヤライズがタイムアウト。
和田コーチのアドバイスを聞きながらも成本はずっとステップを踏み続ける。タイムアウト明け、やはり王子サーブをフォアサイドに出し、木原はツッツキ。成本のループドライブを木原が回転を残してブロックして、台について曲がった球を成本が空振りして9オール。
木原にサーブ権が移り苦しい場面だが、ここで成本が勇気をもって回転をかけたツッツキレシーブからラリーに持ち込み、木原を振り回して得点し10-9。次も切ったレシーブを木原が持ち上げ、成本が叩きつけるようなフォアハンドブロックで得点!!11-9で見事勝利!!カグヤライズがクリスマスに地元ファンに勝利を届けた!!
ヒロインインタビューでユエンは何度も地元ファンからの応援に感謝していた。
そして勝利監督インタビューでは、池袋監督がまたしてもリーダーシップを見せてトナカイの被り物のまま登場。インタビュー内容は極めて真面目だったために、そのギャップにるーなちゃんが惚れ直していたようだ。
筆者を含め、ほとんどの人がアビエル有利と思う中、カグヤライズに勝利して欲しい地元ファンが、そして地元ファンに勝利を届けたい選手、監督、コーチが一体となってつかんだ見事な勝利だった。実は今日は卓球では珍しいダブルヘッダー。カグヤライズは休む暇もなく、すぐに日本ペイントマレッツと試合だ。クリスマスに地元ファンに連勝をプレゼントできるか!? 頑張れ、カグヤライズ!!
今は昔、日出ずる国にシロートアカデミーの翁といふ者ありけり。スウェーデンのワルドナーやパーソンといふ卓球のスーパースターに憧れけり。憧れが憧れのまま終わりけり。いとあはれ。京都の池袋社長にいざなわれ、球を打たずにキーボードを打ち始めけり。白星となるや、黒星となるや、カグヤライズの星取物語、始まり始まり。
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