8戦目にして初めてトップおとめピンポンズ名古屋(以下TOP名古屋)に相対する京都カグヤライズ。今シーズンのTOP名古屋は強い。レッドエルフ、アビエル、マレッツの3強から白星を上げ、初のファイナル進出を狙える位置にいる。観客席にはTOP名古屋の旗を振るサポーターも。カグヤライズは未だ白星に恵まれないが、好調TOP名古屋に土をつけることはできるか!
ウェイとマーのペアは10月8日に福岡で行われた九州アスティーダ戦以来2回目となる。
第1ゲームはカグヤライズペアのバックドライブ連打で先取点。しかしここからホームのTOP名古屋の打球点のはやい攻撃で4連続失点。今日もダブルスは厳しいかと思われたが、鈴木の調子が悪くプレーに堅さが見え流れが変わる。2-5から6連続得点で逆転。マーが得点の度に声を出し、流れが一気にカグヤライズへ。このゲームを11-7で取る。
第2ゲームはラブオールから鈴木のサーブをマーが切ってバックにツッツキ、南波の表ソフトで持ち上げさせたが、2連続失点。しかし主導権を握っているのはやはりカグヤライズ。落ち着いて回転の強い山なりのボールを入れすぐに追いつく。3オールからはマーが鈴木の甘いレシーブを見逃さず、フォアの強ドライブを連続で決める。マーはストレートのバックドライブもよく決まっている。南波の意表を突くバックの表ソフトでのレシーブにも動じず、どんどんリードを広げたカグヤライズが、11-5で第2ゲームを取る。見事なストレート勝ち!!そう、遂に取ったぞ~!!8戦目にしてカグヤライズが初めてダブルスを取ったぞ~!!
会場で観戦したことのある方はご存じかもしれません。いつも試合開始前に流れるTリーグのルール説明と見所のビデオで、「ダブルスに勝利するとチームが勝つ確率は7割」と言われております。とうとう来たなこの時が!!
このままの勢いで第2マッチも取ってしまいたいカグヤライズ。しかし相手のチェン イーチンは東京五輪混合ダブルス銅メダルの実力者。最新世界ランクは27位だが、実際の実力は10位前後だろう。そのチェンがラブオールから魅せてくる。ウェイのサーブをチキータレシーブからのフォアサイドを厳しく切る4球目のバックハンド攻撃でノータッチ。その後もチェンは回転重視の緩いボールと、一撃必殺のスピードライブを巧みに混ぜ、ウェイから得点を奪い続ける。ウェイもラリー戦の強さを見せるが、それを上回るチェンの攻撃。4-11で第1ゲームを取られる。
第2ゲーム、チェンがギアを上げる。ウェイの球も決して甘くないのだが、少しでも緩い球には容赦ないカウンターが飛んでくる。ウェイもチェンのプレッシャーに打ちミスが出る。ああ、なんということでしょう!!このゲーム、0-11で1点も取れずに落とす!!ダブルスを取った勢いがどこかに消えてしまいそうだが、張コーチだけでなくユエンも必死にウェイにアドバイスを送る。カグヤライズはあきらめないぞ!!
第3ゲーム、ラブオールからウェイが得意のバックでチェンに打ち負け、やはり厳しい状況。0-2からようやく1点取るが、なんとここまで17連続ポイントをチェンに許していた。ここから4-3、5-4とリードした場面もあったが、チェンが気合を入れなおし5-6と逆転される。ウェイもバックサーブを出すなど打開策を見出そうとするが、このまま8-11で取られ、ストレート負けとなった。
ダブルス勝利の喜びも束の間、チェンの見事な火消しにあってしまった。
成本が世界ランク10位のカットマン、ハンインに挑む。いきなりサービスエースを取られた成本だが、世界のトップ選手にも気負わず、バックハンドの異質ラバーでのストップを混ぜながら、ハンインと接戦を演じる。7オールではハンインのバックカットに対し、打つモーションからフォアハンドでストップを繰り出す。見事台上で2バウンドさせ、ハンインが動けない。しかしハンインも意地を見せ、9-8の大事な場面でバックハンドの3球目攻撃を決め、最後の長いラリーではカットだけでなく、前陣で成本のドライブをブロックして入れてくる。成本、惜しくも9-11で第1ゲームを取られてしまう。
第2ゲーム、成本は3球目スマッシュを決めるスタート。しかし、その後成本は強く行こうとし過ぎたか、フォアハンドのミスが目立つ。3-8までリードを広げられるが、ここから成本の攻撃のミスが出なくなり、4連続ポイントで7-8。集中力を切らさなかった成本素晴らしい。TOP名古屋はここで早めのタイムアウト。タイムアウト明けは成本はバックハンドにミスが出たが、そこからフォアスマッシュの次を台上で2バウンドするストップ。強く打たずにツッツキで前後左右に揺さぶり得点。更にはツッツキとフラットに打つ強打を織り交ぜて点を取るなど、変幻自在の攻めを見せる。10オールとなり、最後は回り込み強打を決めて11-10で第2ゲームを取り返した。終盤はフラットに当てる強打も次々と決まり、見事な逆転。
第3ゲーム、ハンインが攻撃を増やしてくるが、成本は見透かしたかのように前陣ブロックで対応。しかしハンインの巻き込みサーブに手こずる。第2ゲーム後半に比べると、攻撃ミスも増え、7-11で第3ゲームを落とす。
第4ゲーム、ハンインが成本の攻撃に慣れ始め、強打を読んでいるかのように返す場面が増える。1-4とリードされたところでカグヤライズがタイムアウト。タイムアウト明け、成本は気持ちを入れなおし、第2ゲームのようにミスが減る。ハンインに止められても止められても正確に強い攻撃を決めていく。4-4に追いつき、その後は抜きつ抜かれつの展開。10-9とゲームポイントを握るが、次の今日一番のラリーは、成本の強打が台をオーバーして10オール。会場から大きな拍手が送られる。10オールから運命の一本、成本の回り込みドライブに対し、ハンインの全身を使った中陣からのカウンタードライブが決まり、10-11でゲームオーバー。ゲームカウント1-3で第3マッチを落とした。
今まで各チームのトップ選手と大熱戦を演じながらなかなか勝ち星に恵まれない成本。今日も素晴らしく足が動き、世界のトップ選手ハンイン相手に互角の戦いを演じた。敗れたものの観るものを感動させた成本が早く勝利で報われて欲しい。成本、素晴らしい試合をありがとう!!
カグヤライズのユエンが対するはTOP名古屋の日本人エース安藤。カグヤライズはビクトリーマッチに持ち込み、初勝利をつかみたい。
第1ゲーム、立ち上がり安藤の打点の速いフォア強打とバックの異質ラバーでの攻撃にミスが出る。じりじりと安藤にリードを広げられ2-7。しかしいつも冷静沈着なユエンは6-7まで差を詰める。8-9からはユエンと安藤の激しいバック対バックのラリー。これをユエンが制し9オール。ここで安藤がサービスエース。ユエンも負けじと安藤の回り込み強打を体勢を崩しながらストレートにブロックで抜き10オール。ここで安藤のバックハンドの球はチャンスボールに見えたが、ユエンのフォアドライブはラケットの角に当たったか、大きくオーバーして10-11で第1ゲームを落とす。せっかく追いついたにもかかわらず、もったいないミスだった。
第2マッチ、序盤からペースをつかめないユエンはなんと1-4で早いタイムアウトを取る。
このゲームを失ったらチャンスがないという判断か。張コーチと話すユエンは険しい表情を見せたり考え込んだり。タイムアウト明け、安藤のフォア前のサーブをバックで回り込んでフリックでエース。ユエンのサーブでも2本とり4オール。ユエンの攻撃が厳しさを増し、次々とノータッチを奪う。8-5とリードするも、安藤も粘り8オール。次のラリーでユエンが中陣からバックで粘って得点。再びリードするとそのまま11-8で第2ゲームを奪い返す。タイムアウト大成功!
第3ゲーム、ユエンのサービスエースから始まるが一進一退の展開。安藤がユエンの攻撃を返す場面が増える。しかし同時に安藤の攻撃にミスもあり、11-7で第3ゲームを取った。
第4ゲーム、安藤が足を動かし、必死に食らいついてくる。安藤のミスが減り、終始安藤にリードを許す。4-5では意表を突くバックへの伸びるロングサーブも決められる。8-10でユエンのサーブだったが、ここで安藤の浮いた球がエッジをかすめ、このゲームを8-11で落とす。勝負の行方はファイナルゲームへ。
前節のレッドエルフ戦は全てファイナルゲームまでもつれたが、今日は初めてのファイナルゲーム。6-6から安藤の切ったツッツキをユエンがバックドライブのミス。次が不運なネットインで6-8。次を安藤にサービスエースも決められ6-9。更には安藤のサーブがエッジで入る不運であっという間に6-10。最後のラリーも安藤に粘り切られ、なんと5連続失点。6-11でファイナルゲームを落とし、チームも1-3で敗戦となった。
チームの勝敗に大きく影響するといわれているダブルスで勝利したにもかかわらず敗戦を喫した京都カグヤライズ。悔しい!!しかし初めてダブルスで勝利をもぎ取ったことは間違いなくチームにとって大きな一歩。内容の濃い試合が続き、間違いなく初勝利に近づいている。次戦は12月17日に徳島県鳴門市の鳴門・大塚スポーツパーク アミノバリューホールで、再度トップおとめピンポンズ名古屋と戦う。今日のリベンジを果たし、黒星のうずしおから脱出だ!
今は昔、日出ずる国にシロートアカデミーの翁といふ者ありけり。スウェーデンのワルドナーやパーソンといふ卓球のスーパースターに憧れけり。憧れが憧れのまま終わりけり。いとあはれ。京都の池袋社長にいざなわれ、球を打たずにキーボードを打ち始めけり。白星となるや、黒星となるや、カグヤライズの星取物語、始まり始まり。
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