九州での試合を挟んで、再び関東での試合に向かった京都カグヤライズ。関東で行われる試合も残り2試合だ。
会場のカルッツかわさきは神奈川県ということもあり、観客のほぼ全員が木下アビエル神奈川のサポーターだ。松島美空の出場が事前に知らされており、メディアの注目が高く、TVカメラが何台も来ている。
直前まで木下マイスター東京 vs 岡山リベッツの試合が行われており、木下マイスターが1-3で敗退。
ラストで負けたのは松島美空の兄、松島輝空だった。中学3年生の兄からバトンを渡された小学3年生の妹の初陣やいかに!
17時10分から京都カグヤライズの公式練習が開始された。
一番に台についたのは松島。今までは球拾いをしていたこの時間だが、今日は不安と緊張を振り払うように、父の卓司さん相手にバック対オールで必死に球を打ち込む。
ユエンは気合十分の表情でダブルスの練習に取り組む一方、マーは初のシングルス起用に緊張の面持ちだ。
第1マッチのダブルスはウェイ・ユエン vs 梅村・張本。エースのユエンをダブルスに抜擢した。ラケット交換では、異質ラバーを使っている梅村のバック面を念入りに確認する。
試合開始からアビエルペアがよく声を出し、積極的なプレーを見せてくる。
序盤は競るも、4-6から梅村のフォア強打、張本のチキータのレシーブエースが決まり、離され始める。5-10まで行ってしまい、ここでユエンのナイスプレーから7-10と2点返したところで、アビエルが早めのタイムアウト。タイムアウト明け、ユエンのレシーブ強フリックが返され1ゲーム目を取られる。
2ゲーム目序盤は長めのラリーが展開される。
梅村の球を狙っていきたいカグヤライズペアだが、梅村が高い対応力を見せ、また梅村のバックハンドの変化にウェイがはまり、3-5となったところでカグヤライズがタイムアウトを取る。タイムアウト明け、ウェイのバックドライブも決まり5-5に追いつく。しかし張本の中学2年生とは思えない威力あるドライブが決まり5-7と再びリードを許す。ここから離されては追いつく展開で10-10。次の一本、球がネットをかすめる不運もあったが、張本が見事な回り込みドライブを決め、10-11で第2ゲームを取られ、ダブルスを落とした。ユエンを起用していただけに痛い敗戦だ。
第2マッチはマー vs 平野。マーは平野の巻き込みサーブの変化に大苦戦。また緊張もあるのか、前回の試合で見せた気合も出せずに、あっという間に4-11で第1ゲームを奪われる。
第2ゲームは平野が順横サーブから試合を組み立て、5-11で取られる。ゲーム間にはユエンもアドバイスを送る。
第3ゲーム、バックストレートのサーブを平野にクロスでバックドライブで抜かれるなど、打開策を見いだせず、0-3でタイムアウト。しかしペースは変わらず、5-11でストレート負けを喫し、五輪代表平野に貫禄を見せつけられた。
第3試合はユエンvs長崎。長崎は世界選手権での素晴らしい活躍を見せたばかり。
ゲームはユエンのロングサーブのミスから始まったが、流石ベテラン、落ち着いた試合運びを見せる
ユエンは無理せず微妙な変化をつけて球を入れていき、長崎のミスを誘い、リードを保つ。8-7では長崎のバックドライブに対し、フォアのカウンターを決め吠える。10-8のゲームポイントでは今日一番のカウンター合戦をユエンが制し、見事1ゲーム目を取った。
第2ゲーム、点数は一進一退ながらも、なんと両者ともにタオルタイムに一切タオルを取りに行かず、早いペースで試合が進む。5-6とリードされてユエンがバックサーブを使うなど、長崎をかわそうとするが、長崎もついてくる。10-10で長崎がミドルからユエンのフォア前に出したサーブをユエンがフォアに切ってツッツキ。これを長崎がクロスに強いフォアドライブ決めて10-11で第2ゲームを取られる。
第3ゲームは長崎がフォア前を積極的にチキータで仕掛けてくると思えば、4-4では逆チキータも見せてきた。長崎の攻撃精度が上がる中、ユエンもペースを上げて何度も高速ラリーが展開される。しかし、ユエンは打ち合いに付き合うだけでなく、時折緩急と長短をつけたレシーブも交え長崎のミスを誘う。10-7のゲームポイントで長崎がサーブミスで11-7と第3ゲームを取った。
第4ゲームはユエンにミスが目立ち、5-11と一方的な展開となり、ファイナルゲームに持ち込まれる。
6-6から始まる第5ゲーム、ユエンのバック前のサーブから始まり、長崎が冷静にストップしてからの得点。6-7から長崎に4球目カウンタードライブをくらい6-8となったところでカグヤライズがタイムアウト。厳しい展開だ。次のユエンのレシーブストップが浮いてしまったが、どうにか長崎の攻撃を耐えて1点返す。7-8で長崎のフォアクロスのドライブをバックストレートにカウンター気味に返して8-8に追いつきユエンが吠える。ここでユエンはバックサーブを選択。バック前、フォア前と出すが、長崎は両方ともチキータで攻め込んでくる。どうにか一点を取り、9-9。ここで長崎はロングサーブをバックに出したが、ユエンがループで返して長崎が変化についていけずミス。10-9でユエンの球がエッジをかすめ、ハイレベルな戦いに終止符を打った。絶好調の長崎に、卓球の奥深さを見せてユエンが見事な勝利を収めた!!
第4試合は松島 vs 張本。小学3年生が中学2年生に挑む。
第1ゲーム、やはり張本の球威は驚異的。松島も届く範囲であれば、何度もブロックしたが、また次の攻撃が待っている。張本は広角な攻めを見せ、松島がノータッチを奪われるたびに観客からため息が漏れる。サービスエースを奪うなどしたが、2-11で第1ゲームを取られる。
第2ゲームは松島がいきなりサービスエースを奪う。しかし、実力差は明らかで2-6とリードされ、全員が厳しいと思う中、松島が奇跡を見せる。2-6から松島がサービスエース、レシーブエースを連発。なんと5連続得点で7-6と逆転。会場が色めき立つ。しかし張本もそうはさせじと2点取り返して7-8。カグヤライズはここが最初で最後のチャンスとタイムアウトを取る。しかし張本はタイムアウト明け、松島のサービスに落ち着いて対処。結局5連続得点の後の5連続失点で7-11で第2ゲームも奪われた。
第3ゲームは1-6と離されるもバックブロックで左右に振り回して張本から得点、3-10ではネットインもあったとはいえ自らのスマッシュで得点するなど見せ場も作ったが、最後5-11で敗退。
やはり厳しかったとはいえ、何度か見せ場も作り、プロ卓球選手として素晴らしい船出だった。
観客は娘や孫を見る気持ちになってしまうのも致し方ないとはいえ、プロ卓球選手としての松島美空を認知してもらえたと思う。ただネットインに手が届かない姿は可愛すぎた。
なかなか勝利に手が届かない京都カグヤライズだが、ユエンが日本代表の長崎を倒し、松島が遂にデビューするなど、明るいニュースもあった。1か月の期間を開けて、次戦、絶対王者の日本生命レッドエルフに挑む。
今は昔、日出ずる国にシロートアカデミーの翁といふ者ありけり。スウェーデンのワルドナーやパーソンといふ卓球のスーパースターに憧れけり。憧れが憧れのまま終わりけり。いとあはれ。京都の池袋社長にいざなわれ、球を打たずにキーボードを打ち始めけり。白星となるや、黒星となるや、カグヤライズの星取物語、始まり始まり。
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